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ゴジラVSビオランテ

2010年12月22日  2017年2月24日 
『ゴジラvsビオランテ』(ゴジラたいビオランテ、または、ゴジラ ブイエス ビオランテ)は1989年12月16日に公開された日本映画で、ゴジラシリーズの第17作である。観客動員数は200万人、配給収入は10億4千万円
Wikipedia:ゴジラvsビオランテより)
 まて。1989年……だと? 僕が物心全くついていないころかよ。そこまで昔の作品だったとは思えなかったが……。

 今作は所謂平成ゴジラと呼ばれる作品の第2作目。敵がゴジラ細胞から誕生したとか、ゴジラが災害だとか(山本弘のMM9だよね)自衛隊の超兵器とか、遺伝子工学とか、超能力とか、そもそもストーリーの主軸が科学技術をめぐる組織対組織の争いでありゴジラは味付け海苔程度だとか、もうそれまでのゴジラからは明らかに転換を図っていた。しかも後のゴジラ作品を含めてもかなり特異な立ち位置にいる。
 要はゴジラ、意味ねえなみたいなものなんだが。ゴジラ細胞、そしてそれから作られた抗核エネルギーバクテリアは核を分解することができるため、核兵器がもはや最終兵器ではなくなり世界のパワーバランスが崩れるのだ。核兵器の威力を保持し続けようとするアメリカ・バイオメジャー。対G細胞を組み込んだ小麦を使いアメリカを越える農業国になろうとする中東サラジア(しかしなぜサラジアが抗核エネルギーバクテリア争奪戦にまで参加するのか、意味不明!)。表向きはゴジラを倒すため、裏では色々黒い考えを持っている日本。この3者が謀略を図る怪獣風サスペンス、が一応のストーリーである。うん、ゴジラは空気。
 まーこのころってサブカルの地位が上がってた最中だったはずで、世界情勢とか組み込むのも今から見てもかっこ良いなあと素朴な感想を抱いたり抱かなかったり。ストーリー面で社会派へ頑張ってるのがわかって面白い。
 確かにビオランテとのバトルが全く盛り上がらないためゴジラ・怪獣映画としては失格な気がするけど、1989年製作としては最高傑作だと思う。こりゃ平成ゴジラシリーズ中No1と叫ぶ人がいるわけだ。


 ……と思っていた。ちなみにこの作品はバブル真っ最中に作られていた。
 劇中で抗核エネルギーバクテリアの研究を推進する社長(大河内誠剛:日本勢力)がこんな感じで言う。
抗核エネルギーバクテリアが必要な理由はゴジラの災害から日本を守るためだ。(抗核エネルギーバクテリアにより最強の兵器を日本が入手することに対して)日本はかつてアメリカから核で被害を被った。日本が核を越える兵器を手にしても良いではないか

 あくまで大河内は悪役としてわかりやすいセリフを吐いただけだ。劇中でも主人公に反対されるは計画が台無しになるはで3流悪役っぷりを見せつけていた。
 しかしこの映画が作られた時代はこの手の思想がそれでも社会的にある種の立ち位置を持っていたんだね。それがびっくりした。時は既に三菱地所がロックフェラーを買い取ったとか何とかやってた頃。高度経済成長は軍事でアメリカに勝てなかったものの、今度は経済で戦争をしかけたーーみたいな言説が時々見かけるが、まさにそれを具現化したキャラだったんだなと感じた。そしてバブルを生きたある年代の人々は打倒アメリカをそれなりに信じてたみたいで、その後の時代を生きている僕なんかは思わず笑ってしまったよ。
 でもよく考えるならば、今の僕らの時代は自衛隊がイラクに行ってみたり、米軍に補給をしてみたりと昔の常識では考えられない事態が起こっている。言論だって北朝鮮に対する先制攻撃とか核武装論とか米軍追い出し(これはすでに消えたのかな)とか昔とは全く違う。
 月並みだけど、時代は変わるものだねーとオモタ。


 良く解らんのだが、何でサラジアが抗核エネルギーバクテリア争奪戦に参加したんだ。さっぱりわからん。
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