Tellurは、……現在色々物色中です。

UO回顧録@桜 その1

2011年1月7日  2011年1月8日 
 もう時効だろう。当時のことを知っている人はいないし、あの時桜で騒ぎを見ていた人たちも忘れているに違いない。直接の原因は彼にあってにせよ、引き金を引いたのは僕である。若さを言い訳にしてはいけないが、とにかく僕は社会経験がなかったために、スルーすれば良かった爆弾を暴発させてしまったのだ。
 そんな昔話でも語ろうか。

 ……これは古い話だ。今は出雲でUOしており、その内容を記事にしている僕だが、実は一回引退経験があり、しかもアカウントもリセットしている。
 かつては桜シャードで半年ほど遊び、ある出来事から無限に移住し、リアル生活の変動により引退をした。その契機となった顛末をこれから語るつもりだ。ちなみにその旧アカウント時代の思い出の一部は、このブログの「旧UO日記」ラベルで見ることができる。逃亡した先の無限での生活しか書かれていないが、僕にとっては懐かしいものだ。



   第一章 ~出会い~


 僕が初めてUOに出会ったのは1999年頃だったと思う。パソコンゲーム雑誌のLog-inがUOマンガを連載して、それでネットゲームもUOもその存在を知ったのだ。当時のことはここにも書いたが、インターネットが環境的に使えなかった時代であり、しかもパソコンを買ってもらいたてだったため、親にUOがやりたいとねだり、駄目だと言われたのだった。それでもUOを諦めきれなかった僕はUO日記サイトを巡るという技にでた。むらさきうにさんを始め、ココナの小部屋、うるてぃまらりあっと、ダミアンさんとかフェンサー女王とかけつねさん、鉱山PK田中にサギ師(名前忘れた)までかなり様々なUO関連コンテツを読破した。
 大学生活も終わりに近づき、将来の展望が読めた頃、初めてUOにログインした。シャードは当時選択画面の一番上にあった桜。とあるゲームのキャラを元ネタにし、性別は女、種族は人間、職業は忍者。ヘイブンに降り立った日のことは今でも忘れられない。ゲーム内で夜になり、周囲が闇に包まれる中、ヘイブンで談笑している人々が明かりに照らされ赤やオレンジ色が眩しく映った。湊にはドラゴンがおり、その巨体に圧倒された。全てが憧れていたUOだった。Kanamiが桜に誕生した。

 今となっては笑い話だが、僕のUO知識というのは更新も止まって久しいネット日記であったために、その当時の仕様とはかけ離れていた。金属鎧を着るとDEXが下がる、魔法ダメージを軽減するにはレジスペを上げなければならない――を始めとして、AFなんて知らない・パワスクって何・イルシェナーの存在もよくわからない・ヘイブンってヤングじゃない人も入れたんだetc。僕が慣れ親しんだ知識はUOML発売から数年たった当時では使い物にならなかった。だから事前にパラリなどで勉強はしたし、UO職業案内所とかも見た。スポイラー系が好きだったからねえ。それでも実際の体験は数値などの情報をも圧倒してしまうほどのものだったんだ。

「ねえ、君初めてUO来たの?」
 ヘイブンでスキルロックをしていると(この程度のことは知っていたスレたプレイヤーだったんだ)、黒い馬に乗ったベテランそうな人に話しかけられた。彼というか「彼女」というか、その人がこれから話す出来事の中心人物となるが、それはまだまだ未来の話。
 名はmamiさん。テイマーらしかった。所謂PM入りのBTM(バードテイマーメイジ)だ。PD(ペーパードール。キャラクターの装備を含めた外観に自己紹介を見ることができる)を開くと、凄まじそうな装備を持っていた。しかもキャラ設定が書いてある。これぞUOの醍醐味だよなーと思いつつ、彼と話をし始めた。内容は他愛もないことだ。どんな職業になりたいのかとかフェルッカは危ないよとか、本来ならUO初心者への助言としては適切だったと思う。でも僕はそういった一般的な意味での初心者ではなかった。UO日記サイトで知っていたために、できればmamiさんとの会話もほどほどに、スキル上げを始めたかった。
 それでも彼の話に付き合ったのは、知り合いを作りたかったからなんだ。今ヘイブンを覗くとわかるが、一人でヘイブン住民の真ん中に放り出されても友達になれる気がしないと思う。降り立った瞬間に入りづらい雰囲気を察し、だからこそ話しかけてきてくれたmamiさんとの話を楽しんだのだ。
 ある程度レクチャーらしきものが終わると、スキル上げを教わった。とりあえず最初はヘイブンのインストラクターから教わるらしい。お金は彼が全て出した。さらにHQ青革鎧をそこらでうろついてた裁縫師に作ってもらった。それから当分の資金として10k(1k=1,000。だから10,000)渡された。ヤングの情緒も醍醐味も全くない始まりだった。後から知ったところ、mamiさんは「ヤング狩り・初心者狩り」と呼ばれる類の人だったらしい。初心者に不相応な高級装備をあげて一緒に遊ぶ代わりに、序盤の醍醐味を奪うことだ。
 それからどこかのダンジョンに拉致られて、彼のドラゴンの果敢なる戦いを見ていた。彼はPMテイマー。舞台は多分だけど、イルシェナーのブラッドダンジョン。敵は恐らく血エレ。まあ、そういうことだ。Kanamiはナイトサイトをかけてもらいつつ立ってただけだった。

 それだけだったらもう彼には会わなかったと思う。色々世話をしてもらったものの、身勝手なことこの上なかったし、ダンジョンまで連れまわすのは非常識すぎると当時の僕でもわかった。だからそろそろ帰還を言い出そうと思ったときに、奴が出た。
 金閣下である。

 旧ブリタニア大陸中最強の黒閣下のパラゴン、それが金閣下と呼ばれたモンスターだ。当然mamiさんのドラゴン程度では話にならない。Kanamiたちはとりあえず逃げたものの、Kanamiは当然徒歩だったのですぐに追いつかれる。mamiさんはKanamiをインビジで隠しつつPMとドラゴンで対抗するも一瞬でやられた。どうしようもなくなったその時、戦士に助けられた。
「ありがとう! マミは金閣下なんて無理。ブリタニア最強だけどあいつだけには絶対に勝てない」
「戦士だったらこのくらいは普通だろうよ。ってかマミも倒せるよう練習しろよ」
「マミは金閣下となんて戦わないからいいの! プンプン」
 こんな会話だったと思う。彼はポールさん。どうもmamiさんの友達らしい。よく見たら同じギルドに入っているではないか。助けてくれた戦士は圧倒的な強さを持つ金閣下に対して一歩も引かずに屠った。Kanamiたちはその隙に逃げ出したものの、戦士の格好良さを強く印象づけられた。それから戦士の彼が入っていたギルドに加入しようとも思った。

 かくして僕の長い初UOの一日は終わり、ヘイブンに1人で戻ると通りすがりの人から奇妙なことを言われた。さっきまで話していたテイマーさんとは仲良くしないほうが良いよ、と。
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