Tellurは、……現在色々物色中です。

「母の記憶に」(ケン・リュウ 著、古沢嘉通 他訳、早川書房、2017)

2017年5月24日  2017年5月24日 
この間、第一作目短編集を読み、 著者のことを中国系アメリカ人として強調した感想文 を書いた。僕はそれが間違っていることだとは思っておらず、しかし今作を読み、1点だけ見誤った部分を発見した。  著者の作品はSFというよりももっと広い視野を持った空想のガジェットや発想を元に人間について語っているということだ。それはもはやSFですらない「草を結びて環を銜えん」、「訴訟師と猿の王」と「万味調和」を読むとわかる。前回、芥川龍之介を引き合いに出したが、歴史小説の中にファンタジー色の強い虚構を少しだけ入れ込み現代的なものを読ませる手腕は正に芥川龍之介の得意とする手法だ…

「クズの本懐」(横槍メンゴ、スクウェア・エニックス、全8巻、2017完)

2017年5月24日  2017年5月24日 
高校生以下と大学生以上の物語上の恋愛は異なる。とたいして経験もないのに感じていた。  ティーンエイジャーとそれ以上、ではなく、あくまで高校生・中学生かそれ以上か、という対比だ。  非常に感覚的な話なのだが、少なくとも「日本」の「男性向け」「マンガ」業界で描かれる「コメディ」寄りの恋愛というのは高校生・中学生の恋愛に特殊な意味付けをしていたと思う。このマンガを読んでその思いがはっきりとした。  さっさと結論を書くならば、それは処女性というものだ。少女向け・女性向けマンガはたとえキャラクターが学生であっても性行為を厭わないケースが見られるが、男性向け、特…

ナノブロックを作ってみた

2017年5月17日  2017年5月17日 
初めてナノブロックに触ってみた。普段はレゴブロック専門。  本屋などでおもちゃとしてではなく、インテリアとして売られているナノブロックは、果たしてレゴブロックを脅かすのか興味があった。  今回買ったのは こちら 。人体模型だ。  最初に箱を開けた感想はちっちゃい! 大人向けというより、手先が不器用だと大人でも作りにくい。それはわざわざナノブロック用のピンセットが売られていることからもわかる。個人的には、あまりにも小さいのでおもちゃとして作り甲斐はないなあ。  ブロックの種類もレゴに比べて少ない。全部の製品を調べてはないが、昔の積層タイプしかないイメージ。…

「紙の動物園」(ケン・リュウ 著、古沢嘉通 訳、早川書房、2015)

2017年5月15日  2017年5月15日 
面白い。今更読み始めたのを後悔するほど面白かった。何でもっと早くこの作品を読まなかったのだろう、と思うほどである。実は、この作品を読んだすぐ後で次作の「 母の記憶に 」を注文してしまったほどである。  一般的な西洋SFとは少し異なる情緒豊かな作品群になぜだか安心感を得たのだが、それは著者が中国系アメリカ人という前情報を得ていたせいだろうか。個人的にはSFというより幻想文学的と読んだ方が良く、それもあってSF特有の無機質さが緩和されていたと思う。  本書は日本独自の編集ということもあり、著者の作品の中でもトップレベルの物が詰まっている。次の短編集がどれくら…

サディスティックサーカス2017Spring

2017年5月10日  2017年5月10日 
もう2週間も経ってしまった。4/ 22に サディスティックサーカス2017Spring を見てきたのだった。今はサイトもクローズされているが、 上演前は催し物が紹介されていて面白かったぞ。  この舞台は初めて見たのだが、かなり面白かったので、 ツイッターで流した感想を整理して書く。  全体的にはショッキングというよりアングラなショーと笑いが多く 、非常に楽しめた。でも後述するが、 一部本当に流血もののヤバい出し物があって、 たしかに20歳未満は入場厳禁だろう。  会場はパイプ椅子。 6時間座りっぱなしだと腰とお尻と太ももが死ぬ。 下手するとエコノミー症候群になるので休憩時間は…